日本は不景気だといわれる。不景気なのは日本だけではない。アメリカもヨーロッパも不景気だ。こんな中で「ラグジュアリマーケット」が世界平均で8%も減少した。やはりみんなお金を使わなくなっているのだ。しかし、NewsWeekの国際版(多分一週間遅れくらいで日本語版にも記事が載るのではないかと思う)を読むと、悲しいことばかりではないような気になってくる。
記事によると、エルメスの業績が前年比で8.5%上がったのだという。ニューヨークに男性ファッションの専門店をオープンするというのだ。他にもルイ・ヴィトンやバーバリなどが好調なのだそうだ。これらのブランドの特徴は老舗であるということ。老舗が専門分野に特化することで顧客を獲得しているわけだ。逆に「ヴェルサーチ」が、トレンドものの代表として出てくる。同じラグジュアリでもこういった分野は沈んでいるのだという。結局「伝統的」か「そうでないか」が違いになっているようだ。
それではなぜ「伝統」が受けるのだろうか。それは今が不況だからだ。不況になると先の見通しが立たなくなる。すると確かなものにすがりたくなるのが人情というものだろう。人々は保守的になり、故にこうした伝統的なブランドを求めるのだ。記事のキーワードは2つ、伝統と職人気質(記事はクラフトマンシップと言っている)だ。ユニクロが受けているが、これも同じような心理があるはずだ。ユニクロはトラディショナルなブランドではないが、勝ち組とされている。不況になると人々はこうした勝ち組にあやかりたいと思う。逆にリストラで沈んでいるスーパーには近寄りたくない。例えば西友の衣料品コーナーはいつも閑散としている。確かに安いのだが、あそこに行くと「なんか不況が伝染するような」気がする。こうして、一極集中が促進される。
アメリカはラグジュアリマーケットの第二位から転落したのだという。今では、ヨーロッパについで大きなマーケットは中国なのだそうだ。こうした新興地域が今後伸びてくるだろうし、若いときにこういった空気を体験している人たちは、後になっても消費を続ける傾向が高いのだそうだ。例えば中国にも伝統的な製品はあるだろうが、これを大規模展開して品質を管理しつつ売り出すような仕組みはない。かつて日本がアメリカやローロッパに憧れた時のような気持ちが残っているものと思われる。
さて、この記事を読んでいて、「日本には伝統的なものが売るほどあり」「職人気質も腐るほどあるのになあ」と思った。しかも中国はすぐ隣だ。と思っていたらやっぱり日本のテキスタイルは高い評価を受けているのだという。例えば倉敷はジーンズ生地の一大産地になっている。石油コンビナートが近かったという理由があるのかもしれないが、やはり藍染めなどの「職人気質」があったからだと思うのだ。素材だけ売らずに、最終製品までブランド化する人たちがいてもよさそうなものだが、やはり洋服というくらいで「西洋のもの」という認識があるのだろうか。「手作業だからたくさん作れない」という職人気質の悪い方の側面(どうしても工業製品なのでこういう割り切りは必要になってしまう)が、海外進出をためらわせる原因になっているのかもしれない。
このブログ記事では、国に頼らない気概も大切だが、やはりリスクは高いかもなあということを言っている。国内のジーンズ産業が停滞して、職人気質が維持可能かもわからないにも関わらずである。一歩を踏み出してしまえば、結構うまく行くような気もするし、それも難しいのであれば、まずはオンライン・コミュニティでもつくってミラノ、パリ、ニューヨーク、北京などにいる日本人(まあ、現地の人でも構わないわけだが)に営業を委託してもいいのではと思う。なにせラグジュアリブランドは全体で8%も落ちているのだ。現地でシゴトを探している人はたくさんいるのではないかと思える。多分問題なのは、日本の地方にいて実際にシゴトをしている人、東京の本社で「なんだか売れないなあ」と悩んでいる人、そして海外にいる日本人が結びついていないからなのではないだろうか。
こうした明らかにお金になるネタを持っているのに、海外に出るか出ないかで逡巡しているのは、なんかもったいないなあと、何も持っていない私なんかはつい思ってしまうのだがいかがなものだろうか。